はじめに

「お店が地図に出てこないんですが…」
お客様からそう言われて、初めて異変に気づく。こうしたケースは、決して珍しくありません。Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)では、ガイドライン違反によって、ある日突然プロフィールが停止・削除されることがあります。地図から姿を消したあいだは、地図経由の集客がぱたりと止まってしまいます。
ご相談をいただいた多くの企業から感じるのは、止まったこと以上に、「なぜ止まったのか分からない」という戸惑いのほうが大きい、ということです。ただ、停止の理由は無数にあるわけではありません。よくあるパターンに集約されますし、どれに引っかかったのかさえ分かれば、修正して再申請、早期復旧する道は十分に残されています。
本記事では、停止・削除につながりやすい原因を整理したうえで、もし止まってしまったときの復旧の進め方、そして普段からできる予防までを順に見ていきます。
「突然」に見えて、原因は決まっている
停止につながる行為はさまざまですが、ご相談に多い違反を整理すると、大きく次の3つに分けられます。掲載している情報は正確か、写真や文章は自社のものか、口コミは信頼できるか。これがすべてではないものの、まずはこの3つを押さえておくだけでも、停止のリスクはかなり下げられます。順に見ていきましょう。
1. 情報の正確さに関する違反
地図サービスの価値は、載っている情報が信用できることにあります。だからこそGoogleは、ここが崩れる行為(ガイドライン違反)に最も厳しく対応します。
1.1 複数の店舗を1つのプロフィールでまとめている
2店舗目を出したとき、プロフィールを新しく作るのが面倒で、最初の店舗の情報に新店の住所を足して使い回す。気持ちは分かりますが、これは違反です。Googleのルールは「1店舗につき1プロフィール」。店舗が増えたら、その数だけ用意するのが原則です。
1つにまとめてしまうと、2店舗ぶんの住所や電話番号、営業時間が同じプロフィールに混ざり、見た人がどちらの情報なのか分からなくなります。
対策:店舗が複数あるなら、その数だけ個別のプロフィールを用意し、別々に適切に管理しましょう。
1.2 営業時間が実態とずれている
意外と多いのが、定休日の設定を忘れていて、休みの日も「営業中」のままになっているケースです。「開いているはずだ」と訪れたお客様が、閉まった店の前に立つことになります。ユーザーに直接の不利益が及びますし、Googleもここは見逃しません。
対策:営業時間は常に最新に保ち、定休日・臨時休業・季節ごとの変更も、そのつど反映しましょう。
1.3 説明文に裏付けのない記載がある
紹介文に、根拠の示せない効果や効能を書いてしまうパターンです。医療やサプリメント、健康関連で起こりがちで、この分野の誇大な表現にGoogleは特に目を光らせています。
対策:説明文に書くのは、事実として裏の取れる内容だけにとどめましょう。
2. 写真・掲載内容に関する違反
掲載するコンテンツが「自社のものか」も、重要な判断材料になります。
2.1 他社の写真を無断で使っている
自分の店の写真がうまく用意できず、ネットで見つけた見栄えのよい画像を借りてくる。よくある話ですが、これは著作権の侵害であり、同時にGoogleの規約違反でもあります。「きれいな写真を載せたい」という思いが強い飲食店や美容室ほど、つい手が伸びてしまうところです。
対策:載せてよいのは、自分で撮った写真か、使用許可を得ている写真だけ。クオリティに不安があれば、撮影だけプロに頼むのも一つの手です。
2.2 規約で禁じられた表現を載せている
誇大な記載のほかにも、踏んではいけない地雷があります。政治や宗教の主張、差別的な表現、度を越した割引のうたい文句、競合への中傷。このあたりは、載せた時点でアウトと考えておいてください。
対策:政治・宗教の主張、差別表現、中傷、過度な特典のうたい文句は載せない。記載は事実ベースに徹しましょう。
3. 口コミに関する違反
口コミはプロフィールの信頼性を支える部分なので、不正な操作にGoogleは敏感です。
3.1 自作自演・サクラによる投稿
口コミがなかなか集まらないからと、複数のアカウントを用意して自分たちで書き込む。これは違反のなかでもかなり重く、見つかればプロフィールごと止められることもあります。
「どうせバレない」と思いがちですが、Googleの検知精度は侮れません。たとえば次のような痕跡から、不自然な投稿はかなりの精度で見抜かれます。
同じIPアドレスから複数の口コミが投稿されている
短期間に投稿が一気に増えている
文体や内容がどれも似通っている
投稿者の他の活動履歴が不自然
対策:サクラは使わない。地道でも、実際に足を運んでくれたお客様の自然な声を積み上げていきましょう。遠回りに見えて、これが結局いちばん効きます。
3.2 機械的な定型返信
届いた口コミすべてに、同じ一文をコピー&ペーストで返している。本人は丁寧に対応しているつもりでも、Googleのアルゴリズムは、この判で押したような返信を見抜きます。すべてが同じ文面だと「自動ツールを使っているのでは」と疑われ、違反とみなされかねません。近年は特に、bot的な動きへの監視が強まっています。
対策:返信は手間でも一件ずつ、その口コミの中身に触れて書きましょう。それだけで、受け取る側の印象は大きく変わります。
4. 停止されてしまったとき、どう立て直すか

停止されてしまっても、順を追えば復旧できる可能性は残っています。以下4つのステップでご紹介します。
4.1 まず「何が問題か」を正確につかむ
停止と同時に、Googleから理由つきの通知が届きます。まずはこれを読み込み、どこが引っかかったのかを正確に押さえる。すべてはここから始まります。通知は、プロフィール管理画面の「メッセージ」欄か、登録したメールアドレスで確認できます。
4.2 原因そのものを取り除く
通知をもとに、違反箇所を特定して直します。たとえば「複数店舗が1つのプロフィールにまとまっている」なら、店舗ごとに分けて作り直す、といった具合です。ここで焦って自己流で進めると、かえってこじれることがあります。改めて公式ガイドラインに当たり、判断に迷うところは専門家を頼るのが無難です。
4.3 復旧を申請する
管理画面の「異議申し立て(復旧申請)」から、必要な材料をそろえて申請します。指摘への説明(なぜ違反でないのか、あるいはどう直したのか)、具体的な修正内容、事業の実在を示す資料(営業許可証や登記事項証明書など)、そして誠意の伝わる文面です。
たとえば写真の権利を指摘されたケースなら、こんな書き方になります。
ご指摘いただいた写真の件を確認いたしました。第三者が撮影した画像が含まれていたため、該当分はすべて削除し、現在は当店で撮影した写真のみを掲載しています。改めてご審査いただけますと幸いです。
4.4 結果を受けて次に動く
申請後はGoogleが内容を審査し、結果がメールで届きます。期間は、公式には最長で5営業日ほどとされていますが、実際には数日から2週間くらい、申請が立て込んでいる時期はさらにかかることもあります。すぐに動きがなくても、慌てず待ちましょう。
結果は、次の3つに分かれます。
復旧が認められた場合:再び地図に表示されます。以降はガイドラインをより丁寧に守ることが肝心です。
追加の対応を求められた場合:示された指示にそって直していきます。
復旧が認められなかった場合:違反が重いと、復旧が通らないこともあります。その際は新しく作り直すことになります。
5. 復旧が認められず、作り直すことになったら
前のプロフィールが戻らないときは、新しく作成します。気をつけたいのは次の点です。
まず、前と同じメールアドレスや電話番号を使い回さないこと。同じ事業者による作り直しだとGoogleに判断され、新しいプロフィールまで止められることがあります。登録する情報は、住所も電話番号も営業時間も、正確かどうかを確かめてから入力します。そして今度こそ、ガイドラインを徹底して守ること。営業時間の更新、自社で撮った写真、口コミへの個別返信、サクラを使わない。この基本を外さないことが、何より大切です。
6. 停止を未然に防ぐチェックリスト

停止されてから慌てるより、普段から防いでおくほうがずっと楽です。定期的に、次の項目を見直してみてください。
基本情報
営業時間は正確か(定休日・臨時休業・季節変動を反映しているか)
住所・電話番号・サイトURLに誤りはないか
情報の正確さ
店舗ごとに個別のプロフィールを用意しているか
複数管理する場合、それぞれ別のメールアドレスで登録しているか
説明文に、裏付けのない効果効能や誇大な表現がないか
写真・掲載内容
掲載画像はすべて自社撮影か(他社の写真を流用していないか)
不鮮明・不適切な画像が混ざっていないか
政治・宗教的な主張や差別表現、誹謗中傷を載せていないか
口コミ
返信を一件ずつ、内容に応じて書いているか
定型文の使い回しになっていないか
サクラ・自作自演の投稿をしていないか
全般
最新のガイドラインを確認しているか
違反になりそうな箇所が残っていないか
7. 対応に迷ったら、専門家に相談する
プロフィールの停止は、じわじわと効いてくる痛手です。地図からの新規客がぱたりと止まり、そのまま売上に響きます。それでいて、当の本人は「何が悪かったのか」「どう直せばいいのか」が分からず、手が止まってしまいがちです。
そういうときは、外の力を借りるのも一つの手です。当社では、原因の特定から復旧申請のサポートまでお引き受けしています。止まった直後ほど初動がものを言いますので、お困りの際は早めにご相談ください。
おわりに
Googleビジネスプロフィールの停止は、運悪く降りかかる災難ではなく、ガイドラインに照らせば理由のある現象です。だからこそ、いちばん効くのは普段の備えです。営業時間をこまめに直す、自分で撮った写真を使う、口コミに一件ずつ返す。この地味な積み重ねが、結局いちばんの予防になります。
もし止まってしまっても、早く気づいて素早く動けば、戻せる見込みは十分にあります。プロフィールは、今この瞬間も新しいお客様を連れてきてくれる資産です。手をかけて、守っていきましょう。